【産業動向】ファーウェイ、「ムーアの法則」に代わる「タウの法則」発表 微細化から時間の圧縮へ移行
2026-05-26 12:41:49
中国の半導体情報メディア『芯智訊』は2026年5月25日付で、上海で同日開催された国際学会「国際回路・システム・シンポジウム(ISCAS)」で、中国ファーウェイ(Huawei=華為)の何庭波・董事(取締役)兼半導体事業部総裁が基調講演を行い、時間単位で能力を測る、半導体業界の新たな法則「タウ(τ)の法則」を正式に提唱したと報じた。また、この理念に基づき、ファーウェイが、独自開発した「LogicFolding(ロジックフォールディング)」技術により、2031年までに1.4nm(ナノメートル)半導体の量産開始を目指す方針を明らかにしたと伝えた。芯智訊は、ファウンドリ最大手台湾TSMC(台積電)が2028年の1.4nm量産開始計画を既に公表していると紹介した上で、仮にファーウェイが1.4nm半導体の大規模量産を実現すれば、「5nmより先端の半導体量産には蘭ASML製EUV(極端紫外線)露光装置が不可欠」という業界の常識を覆すことになると指摘した。
芯智訊によると、ファーウェイの何氏は、情報科学分野の中国の学術誌『SCIENCE CHINA Information Sciences』でもタウ(τ)の法則についての論文を発表。ISCASの講演では、トランジスタ微細化に依存してきた「幾何学的スケーリングの時代」は終焉を迎えつつあり、今後10年間における競争力のカギは、より小さいナノプロセスではなく、「時間(τ)」の圧縮にあるとの考えを示した。さらに、ムーアの法則の本質は決して幾何学的な縮小ではなく、寸法を縮小することで信号伝送時間を短縮し、パフォーマンスを向上させることだと指摘。プロセス技術が物理的限界に近づき、トランジスタ単価が下がらなくなった現在、業界は新たな進化の指標を必要としているとし、そこで生まれたのが「τスケーリング」だとした。その上で、その核心となる思想は、将来の技術的飛躍はもはや露光装置によるトランジスタの小型化に過度に依存するのではなく、3D集積、光インターコネクト、統合メモリアーキテクチャ、クロスレイヤー最適化を通じて、システム内のデータを「より速く」処理し、遅延を「より低く」抑えることにあると紹介した。
何氏は、「τスケーリング」の最初の量産事例は、モバイル端末用SoC(システムオンチップ)分野で実証されたとし、自主開発した「LogicFolding」は、プロセスノードを変更せずに、デジタル回路・アナログ回路・メモリ回路を垂直方向に積層配置し、マイクロメートル級ハイブリッドボンディングで接続する技術だと指摘。これは「平屋を高層ビルへ建て替える」ような設計思想であり、重要信号経路を大幅に短縮できるとした。その上で、この技術を採用した「Kirin 2026」チップでは、トランジスタ密度が1世代で55%向上(155 MT/mm²→238 MT/mm²)し、性能コアの電力効率は41%改善、最大クロック周波数も約13%向上したと紹介。2035年までにトランジスタ密度は400 MT/mm²超、CPUコア周波数は4GHz超に達することを目標に掲げ、このことは、EUV露光技術に依存せず、かつ従来は数年を要した世代の性能向上を実現できることを示しているとした。
何氏は、2020年以来、同社のチームが既に381モデルの量産チップでこの方法論を実践してきたとし、「幾何学的スケーリングの時代は事実上既に終わった。今後6〜10年でτを主要な最適化目標として採用する企業が、その後の10年のコンピューティングの形態を決定することになる」との考えを示した。
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